4人用食卓 猟奇的な彼女 イルマーレ ホワイトバレンタイン

PRODUCTION NOTE

     
かつてない美しい映像を可能にするために、新たな撮影方法を開発!
「イルマーレ」では、今まで見たことがないほど美しい映像が印象に残るが、映像に対するイ・ヒョンスン監督のこだわりは並み大抵なものではなく、1カットごとの構図、そのディティールにまで最大限の注意が払われた。従来の撮影方法では、監督が意図するような美しい映像を実現できないので、わざわざ「イルマーレ」のために、全く新しい、革新的なフィルム現像方法が行われ、フィルムの色彩の彩度の明度をこれまでになく極めることに成功した。「イルマーレ」の美しさは、こうした困難で複雑な作業による苦労の産物なのだ。

同じような題材を扱った「リメンバー・ミー」よりも一年早くシナリオが完成
「イルマーレ」は、本国で昨年9月に公開されたが、それ以前の5月に公開された「リメンバー・ミー」は、21年の歳月をへだてて無線で交信する男女の物語で、”時を越える愛”というテーマ性が偶然似てしまったもの。実は、「イルマーレ」のシナリオは「リメンバー・ミー」から遡ること1年前に完成していた。だが、〈凝り性の〉監督のせいで、実際の作業に時間がかかってしまい完成が遅れてしまった、という真相だ。従ってイ・ヒョンスン監督は「あの作品と全く違う印象に作りあげるのに、さらに苦労しました」と語っている。

「イルマーレ」の大ヒットで、ロケ地が恋人たちのデートコースに
ウンジュ(チョン・ジヒョン)とソンヒョン(イ・ジョンジェ)が時を隔ててデートする場所として、さまざまなスポットが登場する。ジェットコースターやパイレーツに夢中になる遊園地は、韓国のディズニーランドと言われる〈エバーランド〉。ウンジュがソンヒョンに教えられて歩く美しい街路樹の道は、エバーランドに隣接する〈ホアム美術館〉へ通じている。その先にあるカフェは〈カフェ・ケールーズ〉という名で、実際には、ソウル郊外、パルタン大橋の北側に位置している。また、ウンジュが電車に乗るのは、ソウルの中央駅のプラットホーム。

さらにふたりが会う約束をした済州島は観光地として有名だが、映画の撮影では西端の城山日出峰のふもと、城山港からさらに船で20分ほどの距離にある牛島(ウド)の海岸が使われている。「イルマーレ」が公開されてから、こうしたロケ地でデートする若いカップルが急増し、それが幸運を呼ぶという噂まで流れた。まさに幸運の「イルマーレ」効果といえる。

席毛島の海岸に建てられた海辺の家「イルマーレ」
本作のもう一つの主役といえるのが、海辺に建つ家〈イルマーレ〉である。満潮になると、家の柱が海水につかるという外観が魅力的なこの家は、実際に江華島の西側に位置する小島、席毛(ソンモ)島海岸に建てられたものだ。家の建設にあたってイ・ヒョンスン監督は、毎日の”日の出・日の入り”のアングルを研究し、映画のイメージにあわせて、海岸のまわりもきれいに再造成した。さらに家の外観に関しても、1度塗ったペンキを塗り直したり、外壁にボルトをいっぱい打ち込んで立体感を演出するなど、細部にまで徹底的にこだわった。ちなみに、この家は、外観のみで、実は中は空洞。

内部は別のセットで撮影した。なお、江華島はソウルから車で2時間ほどのところにあり、かつて日本が朝鮮に開国を迫った江華島条約(1876)締結の地でもある。席毛島に行くには、そこからさらにフェリーに乗らなければならない。

撮影当時から注目されていた映画
本作の撮影現場は、2000年8月にNHK-BSで放送された「ニューシネマが熱い!-社会をうつす映画人たち-」でも紹介された。これは現在、世界中から熱い注目を浴びている韓国映画の現状を取材した特集番組で、その中で最も大きく取り上げられたのが、本作の撮影現場の紹介だった。わずか数分の場面を撮るのに何テイクも繰り返す、妥協を許さないイ・ヒョンスン監督の完全主義者ふりからは、いい映画を創りたいという情熱が痛いほど伝わる。

また、作品のテーマについては、「都会の男女の孤独感から生まれる愛を描いた。表面的な愛ではなく、心の底から触れあう愛に共感してほしい」と語っている。さらに、この孤独な二人が触れ合う手段がインターネットではなくて、”手紙”であるということ、それこそが真の人間関係を結ぶ手段であるということも、番組で強調されている。韓国映画の充実ぶりを紹介する特番で、本作が取り上げられたことは、いかにこの映画が撮影当時から注目されていたか、ということを実証したといえよう。

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